スッポンって見たことありますか?ふだんあまり見る機会がないと思うんですけどとってもかわいいんです。
玄関を開けたら、知らない生きものがいた
あの日もいつも通り外出から帰ってきた私。でも、玄関から入ってきた瞬間、私は違和感を覚えた。「…なんか、いる?」視線の先にいたのは、小さな、小さなカメみたいな生きもの。でも見慣れたカメとはなんだか違うけど…。
「え?なにこれ?」「それ?スッポンの赤ちゃん。泳いでたから連れて帰った」
ーいやいやいや、どういうこと!?
「泳いでたから連れて帰った」って、そんなことがある?

説明によると、夫がいつも行く近所の川をふらっと覗いたところ、ちょうどスッポンの赤ちゃんが泳いでいたのだという。
で、その姿が「かわいかった」のでつい、という流れらしい。…いや、言ってることはわかるけど、普通は連れて帰らないと思うんだけどな。
私はその日、人生で初めてスッポンの赤ちゃんを見ました。想像よりも小さくて、甲羅はやや柔らかくて、妙にクリクリした目。
正直ちょっと、かわいかった。
そこから始まる、まさかのスッポンライフ

そのまま容器に入れられたスッポンは、なんとなくそのまま家の一員に。私は「スッポンって家で飼えるのかな?危険な生きものなんじゃ…」と謎のイメージをもっていましたが、とってもかわいくメロメロに。
特にエサやりの時間になると「エサくれダンス」を踊っている(と私は思っている)姿!スッポンだから「ポンちゃん」とわかりやすい名前をつけて呼ぶ毎日。かわいい。
気づけば4年。今では庭に専用スペースを作ってもらい、のびのびと暮らしています。
ものすごい食いっぷりで、びっくりするくらい大きくなりました。あの日の「赤ちゃん」はもういません。いるのは立派な”家主感”を放つスッポン様です。
最初はタッパー、のち水槽、そして屋外へ

スッポンだからといって特別な設備は必要ありませんでした。
最初はおかず用の蓋なしタッパーで仮住まい
うちに来た頃、手のひらにちょこんと乗るくらいのちびっこだったためおかず用の蓋なしタッパーで仮住まいでした。
最初はタッパーよりも小さい背丈でした。そのため立ち上がっても上まで手が届かずただのおかず容器で十分だったのです。まさかこんなもので飼育できるとは。
子供の頃にも家にカメがいましたが、きちんとした水槽で飼っていました。だからそういう設備が必要なんだと無意識に思っていたのです。
しかしちゃんと環境をつくってあげればどんな容器でも飼えるのだなと感心。これはまさに子供が捕まえた生きものを容器に入れて観察している図。
だんだん大きくなるスッポンに合わせて…サイズアップの軌跡
そうこうしているうちにすくすくと育っていったスッポンは、大きくなっていきました。最初に入っていたおかず容器では小さくなり、深めのタッパーにお引越ししました。高さは10cmくらいで大きさはB5用紙ほど。その後高さ18cm、A4用紙ほどのタッパーに再度引っ越しました。
ここまでは水だけで下に砂などは敷いていません。「水を換える時に管理が大変になるから」と夫のアドバイスがあったため。たしかに度々全部水を交換するのには砂があると大変そう。いつの間にかお世話係になっていた私。初心者にはまだ難しいかも。
そして、ある日のこと「ドジョウが住んでいるこの大きい水槽にスッポンも入れてすいすい泳いでいるところが見たいな」と言い出し、ドジョウと同居することに。
私は何もわからない初心者のため、「ドジョウが食べられるんじゃ…。」とドキドキしていましたが、そんなこともなく仲良くしばらく同居していました。むしろ最初の頃はドジョウにびくついていました。夫いわく「スッポンは臆病な生きものなのです」と。
しかしそのうちに餌を持ってくるとはしゃいで水を飛び散らしてみたり、置いていたブロックの上で甲羅干しをしたりと可愛い姿を見せてくれました。
こうして1mくらいはある水槽で暮らすようになりました。これがうちに来てから2年後くらいのことです。
最終形態は屋外飼育!脱走未遂事件も発生
昨年引っ越しを機に、大きな水槽を置いてきたため屋外で暮らしてもらうことにしました。
少し前からなぜだか急激に成長を見せたためスッポンは、少し窮屈そうでした。好きだったブロックの下にももう入ることができず。今までの場所では手狭になっていたのです。
そうして外で暮らすようになり、冬も屋外で越しました。だんだん暖かくなってきた春にはついに脱走未遂事件を起こすまでに大きくなったのです。
うちのスッポン飼育スタイル

スッポンだからと特別な飼い方はしていません。病気になりやすいらしいスッポンですが、丈夫だったみたいでなにごともなく大きくなっています。
餌は配合飼料とごくたまに赤虫。意外とシンプル?
わが家のスッポンはほぼ配合飼料で育ちました。「連れて帰ってすぐは配合飼料を餌と認識してくれないかも」という話だったのですが、割とすぐに食べた記憶があります。
しかし冬を越して春が来た時に食べなかったりします。その時だけ違う餌に変えることはありますが基本的にあげた餌はよく食べます。むしろちょっと足りないかも。加減が難しいです。
冬越し対策-パネルヒーターと自然光だけで乗り切る方法
冬は雪が積もることもある地域に住んでいたため、さすがに室内にいても寒くなります。特に窓際に置いてあるタッパーだけではまずいかも…。ということで、冬にはパネルヒーター(板状のヒーター)を敷いて、いつもより深めに水を入れて、あとは自然光が入るようにしていました。
冬でも太陽が当たる場所は暖かく、日光浴もできるかもと思い窓際に置き続けました。雪が降ったときに少し窓から離すというそれだけ気にしましたが、どれほどの効果があったかはわかりません。
バスキングライトなしでもいけた!うち流・最低限のスッポン飼育環境
という感じなので、バスキングライトも使ったことがありません。「水が汚れないようにする。」「甲羅干しができるように陽があたる場所を確保する。」これが夫に言われたスッポン飼育初心者の私に対する注意事項でした。
スッポンは皮膚病になりやすいということで、この2つは気をつけています。しかし、気がついたら甲羅にもやもやがついていたり、腕を擦ったのか自分で嚙んだのかおかしなできものができていたことはありました。
その都度早めに水を換えたり、甲羅が干せているか見守ったりはしましたが大きな病気にならずにすんでいます。
学芸員の夫と暮らすということ

たぶん、普通の家庭ではまず経験しない「スッポンとの出会い」
けれど、我が家ではごく自然に起きることだったりします。今日も我が家の庭には、スッポンがいて、飼育担当はなぜだか私。夫はたまに様子を見てくれてる…はず。
この家では、何がいつ家族になるのか、ほんとにわかりません。そして、私はまた、何かが”泳いでいたから”連れて帰られる日を、ちょっとだけ警戒しながら過ごしています。
ちなみに、みんなにスッポンが家にいる話をすると8割くらいの人に「食べるの?」って聞かれますけど、ぜったいに食べませんよ。
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