私の趣味に城巡りがあります。建物まで残っているような城はもちろん、遺構だけ残っているところも興味があります。その日も近くの山に登り、城跡を見ようと思っていたのですが…なぜかアリを連れて帰ることになりました。
城跡とアリ、人生どこで何が起こるのかわかりません。
「これは女王アリだ!!」思わぬ出会いから始まった飼育生活

山に登っている最中も、夫は生きものを見つけては熱心に写真を撮っていました。
「これはもしかしたら城跡の一部かしら?」などと思いながら登る私とは全く違うことをしています。頂上についてからも、市内を一望できる場所で景色を見る私とは違い、そこにいる生きものを写真で撮りまくる夫。
その後「あっちも何かあるかもだから行って見てみる?」と奥のほうに進んで行きました。
土の上で見つけた大きな黒い昆虫
そんな時です、「みてみて!これ女王アリだよ!クロオオアリかなぁ」と夫の嬉しそうな声。
見てみると手に大きな黒いアリを捕まえています。まさか…そのアリ飼ったりしないよね。と思う私をよそに、夫は「連れて帰ろう!たぶん結婚飛行したあとだ」とどこからともなく出してきたタッパーにアリをそっと入れたのでした。
夫の一言「アリの飼育おもしろいよ」からはじまる未知の飼育生活
「アリの飼育おもしろいよ。巣が大きくなっていくところ見てほしいな」と何度も熱心に言われ、一匹の女王アリからはじまるアリ家族の飼育をすることになりました。
その時はまさか一年後にはあんな大家族になるとは思うはずもなく…。
夫は昔アリを飼っていた?話題は石膏の巣へ

夫は昔にもアリを飼っていたようで、色んな話をしてきました。
私が「巣はどうするのか?砂とか入れたら入れといたらいいの?」と言ったところ石膏で巣をつくる話を教えてくれたのです。
自作の石膏の巣の話にワクワク
市販の巣もあるけれど、自分で作ることもできるというそのアリの巣の作り方は、なんと石膏を薄い入れ物に形作るというものでした。
なんだか面白そう。今回も石膏で巣をつくるのかと思ったら、夫が「でも、いい商品があってそれが欲しいんだ。ちょっと高いけど。」と言い出しました。
今は市販の巣も進化している
それはテレビでも見たことのある、我が家に書籍もある島田さんという方が販売されている「AntRoom」の蟻マシーン2号ミニという商品でした。

「アリが増えたら増設もできるしね」という夫の話に、そんなに増えないでしょと思う私。しかしその読みは甘かった。
巣は家族でいっぱいに!1年後のアリ生活と拡張計画

5月に女王アリを拾って帰ってから、順調にアリが増えていきました。
真夏になる頃にはアリの巣は真っ黒になってきていたのです。
働きアリが増えて、巣の中はぎゅうぎゅう
働きアリが増えた巣は、成虫もいっぱいでしたが卵もまだまだ増えていきます。そのうち、手狭になった巣を変えようと思っているのか餌場に幼虫などを並べ始める行動が目立ち始めました。
拡張のために再び購入した「AntRoom」の飼育キット
そこで、もう一度AntRoomさんで連結用に同じ商品を購入しようとしたところ、売り切れていてないのです。アリってそんなに人気なの??入荷待ちの状態がしばらく続きましたが、その後無事に購入でき、巣を拡張しました。
アリのごはんは「プロゼリー」一択!?夫のこだわりとは

アリには、我が家で飼っているクワガタにあげているプロゼリーを一欠片おすそ分けしています。
秋になるまで、おすそ分けを続けていました。
他のゼリーではダメらしい
しかし、冬も近づき土に潜ったクワガタに餌は必要ありません。アリもだんだんと食べなくなってきましたが、まだ餌は食べています。
大きなプロゼリーを全部使い切る前にダメにしてしまうことが増えてきました。
そこで夫に「プロゼリー高いから他のじゃだめなの?」と聞いてみたところ、「プロゼリーだからこんなにアリも増えたんだからダメ!」と言われてしまいました。
実際に食べている様子はかなりの食いつき
実際に餌場にプロゼリーを置くとすごい速さでなくなってしまいます。
夫がプロゼリーの代わりに虫などもあげてみていましたが、持ち帰りに時間がかかる上にゴミが増えるので、微妙な感じでした。
働きアリだけで巣はできる?知人の家庭の事例から考える
アリを飼育しはじめてからしばらくしたある日、知人とアリの話になったときのことです。「うちの甥っ子も庭でアリをつかまえてきて家で巣をつくるのをみていたよ」と言い出しました。
子どもが働きアリだけを飼育してみた話
その子は女王アリではなく、庭で歩き回っていた働きアリをつかまえて、瓶に砂を入れて飼育してみていたそうです。そういえば私も庭にできた謎のアリの行列のその先を見つけようとして駐車場まで掘って怒られたっけ。
私もアリが好きだったかもしれない。
それにしても実際に働きアリだけでも巣をつくるのかと驚きました。夏休みに自由研究ができそうです。
実際は女王がいないと長生きしないことが多いらしい
女王アリがいなくても巣をつくって働きアリたちだけである程度までは生きていけるようですが、長くは維持できないことが多いそうです。
アリも種類がたくさんいるので一概ではないようですが、女王がいてこその家族なのですね。
「働かない働きアリ」がいる?のぞいて見えるアリ社会のリアル

それにしても、アリの巣はずっとみていても飽きることがありません。いろいろなアリがいるのでおもしろいのです。
明らかにサボっているアリもいる?
少し前に働かないアリの本が流行った記憶があります。たしかに、一生懸命働いているアリもいますが「えっと何してるの?」と思うようなアリもけっこう見かけます。
そういうアリの中にも大きめの餌が来るとスイッチが入って突然働きだす者もいれば、誰か来た時だけついて行くようにみせかけてすぐに元の場所に戻って動かなくなる者や、そもそも誰かが来ても自分の手入れに夢中のような者までいます。
実はちゃんと役割分担があるという研究結果も
そういうアリたちは実は役割があるという話も見かけます。アリも人間もあまり変わらないように思え、なんだか親近感を覚えたりして。
自然との出会いが変えた日常
夫といるといつも突然の事態が起こります。予測不能な出来事が毎週のように起こるのです。
見るだけだった生きものが、飼育対象になった瞬間
今回もおもしろいとは思っていたけれど、見るだけの存在だったアリがまさか飼育対象となるとは思いませんでした。
しかも、城跡を見に山登りをしに行っただけのはずなのにです。そもそも私一人だけだったら見つけることもできませんでした。なぜ女王アリがすぐに判別できるのだ。
アリをきっかけに自然との距離がぐっと近づいた
このクロオオアリとの出会いをきっかけに私は昆虫館に行ったときに展示されているアリを見るたびに興味津々です。「どのくらいでこんなに増えるんだろう」「この種類はどこに住んでいるのだろう」身近にいる種類もそうでない種類も気になってたまりません。
散歩の時に地面を見ることも増えました。種類はさっぱりわかりませんが、今日も忙しいそうなアリたちをついつい目で追ってしまいます。
「次は何を連れて帰るんだろう…?」そんな予感がする日々
そして夫は「次は何を連れて帰るんだろう…?」また家には住人が増えていくのだろうというこの予感に間違いはないはずです。
コメント