どんぐり染めのはずが…どんぐり虫との暮らしがはじまりました

染色が趣味の私は、秋になると「つるばみ染」をやってみたいと思い立ち、夫と近所の雑木林へどんぐり拾いに出かけました。（つるばみ染はどんぐりの実や笠の部分（殻斗というそう）を煮出して染めるもの）

たしかにどんぐりから虫が出てくるのは知ってましたが、こんなにも虫だらけだなんて知らず…拾ったどんぐりから次々に「どんぐり虫」が！それを見た夫が「これはシギゾウムシの仲間かも」と言い出して、気づけば観察生活がスタート。

林でどんぐり拾い。染色の材料集めのはずが…

私の趣味である染色で「つるばみ染め」をやってみたくて、どんぐりを探しに近所の雑木林へ行ったときのことです。「すごいいっぱい落ちてる！」夫と一緒につやのあるどんぐりをたくさん拾って帰宅しました。

しかし、これには思いがけない”おまけ”がついていたのです。

【観察メモ】
大量のどんぐりを拾ったのは11月の初め頃。近くの雑木林で拾った。そこにはどんぐりだけがぽろぽろとたくさん落ちていて、穴があいたものもあった。

ジップロックいっぱいにいれたどんぐりを次の休みになったら使おうと床に置いていたところ異変は起こりました。

床を白い虫が歩いているのです。それも数匹。

「え？これなんの虫？」となった我が家。よく見てみるとどんぐりを入れていたジップロックの袋の中にもその虫がいます。袋にはあちこちに穴があいています。拾った時にはほとんどなかったはずのどんぐりそのものの穴の数がなんだか多くなっているような…これは虫が出てきた証？

「どんぐり虫」はどんぐりに卵を産む昆虫の幼虫をさしていますが、それらをまとめてどんぐり虫と言っているだけで、種類の名前ではないそうです。

どんぐりの実の部分だけ落とすタイプ（ゾウムシの仲間）と葉っぱごと落とすタイプ（オトシブミの仲間）とありますが、今回拾ったのはどんぐりだけなのでおそらく実だけ落とすタイプだと思われます。でも実際の種類はよくわからず…モヤモヤしつつ観察継続中です。

【夫のひとこと】
「これ、たぶんシギゾウムシの仲間じゃないかな」と言いながら観察モード全開。私はただ拾っただけだったけど、どんぐりの中から出てくる虫の正体が少しずつわかってきてワクワク。

夫は「せっかくだから飼ってみよう」と言い出し、湿らせたピートモスの上に置いただけの”なんちゃって飼育”開始です。最初はどんぐりの中に一緒に入れていたけれど食べている様子もないため、ピートモスの上に移動させたのでした。

それにしても次から次へと出てくるけれど大丈夫かな。全部でてきちゃったらけっこうな数になるんだけど。

そして冬の間はほとんど触れることもなく、発泡スチロールの箱の中にしまっていて私は存在をしばらく忘れていました。

6月になり、クワガタをチェックする私。コクワガタが蛹になったと喜んでいた横で夫は「そういえばどうしてるかな」とどんぐり虫を見ていました。「…どんぐり虫も蛹になってる！」

気がつくとどんぐり虫も蛹になっていたのです。

どんぐり虫が動く様子

一方で、ひそかに秋に根のようなものがでかけていたどんぐりの一つを、おもしろそうだからと私は土の上に置いて、外に出していました。あまり期待もしていなかったのでキキョウのこぼれ種と同居状態になっています。春になり、いつの間にかどんぐりも根が張って芽もぐんぐん伸びてきていました。

どんぐりの生命力と変化の面白さに驚きました。そもそもどんぐりから根のようなものが出た後、どんなふうに芽が伸びていくのかずっと不思議でした。最初出ていたのはやっぱり根でそのあとに芽が出るんだなと今回気づいたのです。

そして現在、キキョウとどんぐりとどっちを植え替えたらいいんだろうと悩んでいます。

穴あきどんぐりは染色用にまだとってあるけれど、手つかずのままです。秋の染色の予定がすっかり「飼育と観察」に変わってしまいました。

もうちょっとしたら成虫になると思うので、種類がわかるかも？と思って楽しみにしています。と同時に、「何を食べるんだろう」…と私は餌の心配を、夫は「どんぐり必要かも」と産卵用のどんぐりを気にしています。

観察をすることではじめて気がつくことがたくさんあります。でも、見ていてもよく分からないこともありました。そして私には専門的なことはさっぱり分からないけれど、まずは育ててみる面白さを感じています。

そして今年も秋になったらまたどんぐり拾いに行きたくなりそうな予感がしています。

【実は…】
どんぐり染めをしたかったけど、しばらくしてもどんぐり虫がでてきていて「中に虫がいたらかわいそう」と思って煮出すことができずそのまま春を迎えてしまいました。どんぐりを完全に乾燥させてしまったけど、上手く染めれるのかな。